Music: think
遙かなる北京 天壇公園 2003年2月16日



		【天壇公園】
		北京の旅最後の日。今日は「天壇公園」と「建築博物館」を見て昼食、その後買い物をして空港へ、というスケジュールだ。
		
		天壇は旧城内にあり、明・清時代に皇帝が天に五穀豊穣を祈った祭祀建造物である。天壇とは、天を祀り、五穀豊穣を祈願する
		場所で、皇帝の祭壇という意味である。明の永楽帝によって、永楽4年(1406年)に施工し14年をかけ永楽18年(1420年)
		に完成した。最初「天地壇」として建造され、その後1534年に「天壇」と改称された。清の乾隆帝により1860年に拡張され現在
		に至る。明・清二王朝の皇帝が天を祭り、祭祀を行った。現存する中国最大の祭祀建造物で、祈念殿、皇乾殿、皇穹宇、圜丘、
		斉宮からなっている。祈念殿の円形の外観は雄大で、釘を1本も使わずに建築されており、金メッキ宝頂が藍色の瑠璃瓦に葺か
		れ、殿内は28本の楠の柱によって支えられている。北京の観光写真には、紫禁城、万里の長城と並び、必ずと言っていいほど
		取り上げられている。皇穹宇の塀は有名な回音壁で、二人が回音壁の東西両側に立ち、壁に向かってささやくと、反対側の相手
		にちゃんと聞こえる。1998年に世界遺産に登録された。




		水で地面に字を書いているおじさんや、カセットから流れる曲に会わせて太極拳をする人たち。みんな何かの会や団体ではなく、
		勝手に集まってきて、自然とリーダーになった人に会わせてやっているのだという。

 

南天門から入り、圜丘(えんきゅう)へ向う。この圜丘は石造りの3層の壇になっており建造物はない。




		<圜丘>
		圜丘は天壇の南にある3層の祭壇場で、上から順に天上界、人間界、地獄界を表す三段の大理石から構成されている。建物はな
		い。最上段の真ん中には円形の石(天心石)があるが、その周囲をいくつもの大理石が同心円状に並べられていて、これらの敷
		石もすべて9の倍数から成り立っている。毎年正月の後、歴代皇帝が15日間肉断ちと女断ちをして身を清めた後、この地にや
		ってきて、天心石の上で天に話しかけ、祈りを捧げる場所だった。かつてそこには皇帝しか立つことができなかったが、今では
		この上に立つと幸福が訪れると言うので多くの観光客が上に乗っている。我々夫婦も上に立って劉さんに写真を撮ってもらった。
		圜丘は、階段の段数や欄干の数、タイルの数等が全て9の倍数で統一されている。








		この公園は故宮などの旧北京城内のほぼ南にあり、南北1.5km、東西1km、総面積273万m2という広さは、北京旧城部の3分の
		1を占めている。北京の地図を見ると、故宮を中心に日壇公園(東)、月壇公園(西)、天壇公園(南)、地壇公園(北)と、
		配置されているのがわかる。この構成は「天円地方」思想により、南側は四角に、北側は丸くと造られており、天(南)、地
		(北)、日(東)、月(西)の四効分支により、天壇が南効に作られた。「天円地方」思想とは、天は丸く、地は四角いという
		思想で、陵墓などにもよく使われている。中国では天を祭ることが支配者にとって最も重要なこととされ、正月、冬至、夏至、
		皇帝の即位、出征の時などはここで儀式を行った。「壇」とはそもそも、皇帝の祈祷場で、昔は「皇帝の庭」と言われていた。
		中でも天壇は、自分を天子として天帝を祭るため最も重要な場所で、もとは城外に設けられていたが、地壇と同時に明代嘉靖の
		外城工事の際、城内に取り入れられた。壇廟建築では、中国最大を誇る。祈念殿、皇穹宇、園丘と一直線に配置されているが、
		広大なので一直線に突き進んでも結構時間を費やす。
 

 


		<皇窮宇>
		祈年殿の南にある皇窮宇は、1530年に完成した、皇帝と先祖の位牌を安置する場所で、まわりが「回音壁」という塀に囲ま
		れている。建物は、高さ19,5m、直径15.5m。青い屋根の円錐形の木造建築で、祭事の際ここに祖先の位牌を置いた。
		回音壁はレンガの継ぎ目をきれいに埋め、表面を滑らかに磨いて仕上げ、音がよく反響するように造られている。180度反対
		側から壁に向かって話した声が、壁に耳を当てるとよく聞こえる。劉さんに勧められて、みんな思い思いの言葉を相手にぶつけ
		ていたので、「おおい」とか「聞こえる?」とか言っても、誰が言ってるのか判らない。私はWIFEに向かって子供の名前を呼ん
		でみたら、これはWIFEにしかわからないので「はっきり聞こえた。」と言っていた。ツアーの中に、ツッパリ娘みたいな子と父
		親のようなカップルがいて、一体どういう関係なのだろうと思っていたが、女の子が私の隣で「オヤジィ!」と叫んだ。これも
		はっきり聞き分けられた事だろう。

		中庭には長方形の石が3枚置かれ、「3音石」と呼ばれる。一番目の石の上で手を叩くとこだまが1回返り、2番目では2回、
		3番目では3回となる、これも回音壁同様、音の屈折反射を利用した構造である。

 





 


		<祈年殿>
		祈年殿は瑠璃瓦が葺かれた円形の3層の屋根を持つ。屋根は全部で28本の木の柱だけで支えられており、高さ38m、直径30
		mの建物全体は、梁、釘を1本も使わない木造建築で、皇帝はここで毎年正月にその年の五穀豊穣を祈った。瑠璃瓦は青い空、内
		部中央の4本の柱(龍井柱)は四季を表し、周囲に並ぶ12本の金柱は1年を、その外の12本は12時間を表している。龍井
		柱は、2層目の天井までまっすぐに延びている。大理石階段は9段で、あらゆる配置に9が使用されている。中国では9はラッ
		キーナンバーとされ、建造物を構成する単位としてよく使用されているそうだ。屋根の3層構造は、神と皇帝と民を表している
		という。





ここにも素晴らしい大理石の彫刻がある、地上界、雲上界、天上界と続く。皇帝は天子だから当然天上界に描かれている。

 











 

 

 

 

 




		<七十ニ長廊>
		七十ニ長廊という長い廊下を通って東門へ向かう。ここを出た所にバスが待っているのだ。七十ニ長廊とはどういう訳でそうい
		う名前が付いているのか。劉さんが説明していたような気もするが忘れてしまった。この廊下には多くの中国人が集まっていて、
		トランプや将棋や麻雀などに興じている。笛を吹いたり、胡弓をひいたり、楽器を演奏している人もいるし、歌の歌い方を先生
		から習っている人もいる。殆どが老人で、老人達の憩いの場のようであるが、私は「楢山節考」を思い出してしまった。
		東門から出て、次の目的地へと向かう。 


 

 

外国人専用のトイレ。ここも星等級が着いているが、中国人もおかまいなしに入っていた。

 

 

 

 


		九龍柏は樹齢千年の古柏で、龍が巻き付いた様な幹をしている。近くに居ると生気を与えてくれる樹と言われる。天壇公園には、
		他にも樹齢何百年という木がたくさんある。

 

祈年殿をあとに東大門を抜けて駐車場に向う。




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