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四天王寺

2003.6.29(日曜) 歴史倶楽部第74回例会








		【四天王寺】してんのうじ

		四天王寺の創建については今の所定かではないが、推古天皇元年(593)聖徳太子が、大阪は難波の荒陵(あらはか)に創建したとされ、
		飛鳥時代の代表的寺院である。荒陵というのは、現在天王寺公園内にある茶臼山古墳があったからだとも言うがこれまた定かではない。
		6世紀に百済から仏教が伝わる。伝来の年代を巡っては諸説あるが、仏教をめぐって擁護派の蘇我氏と反対派の物部氏が争う。「日本
		書紀」には、欽明天皇13年(552)、反対派が仏像を難波の堀江に投棄し、また、敏達天皇14年(585)にも、物部守屋(もののべ
		のもりや)が仏像と仏殿を焼き、焼け残った仏像を難波の堀江にすてたと記録している。両者の対立は、用明天皇の没(587年)後さ
		らに激しさを増し、蘇我馬子は物部守屋討伐の軍を起こす。この時討伐軍に参加した聖徳太子は必勝を四天王に祈願し、勝利すれば一
		寺を建立すると誓いを立て、物部守屋の滅亡後誓願どおりに寺を建立した。これが四天王寺である。



 

 


		学術的には四天王寺の創建は、7世紀初頭の飛鳥時代にさかのぽることは確実と言われ、その当時から中門・塔・金堂・講堂と一直線に
		並ぶ伽藍配置をとっていたこと、その後孝徳天皇の難波遷都にともなって回廊・南大門・東大門などの整備が進められ、天武天皇の時
		の講堂の建立をもって完成した事などが明らかになっている。いわゆる「四天王寺伽藍式配置」の大元であり、近年の発掘調査による
		と、堂塔の位置は創建以来、ほとんど変わりがないとされる。結果、荒陵というのは現在の地でほぼ間違いないものと思われるが、書
		記によれば四天王寺は最初玉造にあったと書かれているので、玉造にあったものが荒陵へ撮されたものと考えられる。

 

 

 




		四天王寺縁起によれば、「四天王寺は今から約1400年前、推古天皇元年 (593)に聖徳太子が建立された、日本仏法最初の大寺で
		ある。新しく渡来した、仏教を支持する蘇我氏と日本古来の宗教を推す物部氏の二大豪族の狭間で 、弱冠16歳の聖徳太子は仏教の守
		護神、四天王に祈願して戦いに勝利した。その報恩謝徳のため、建てられたのが四天王寺である。 四天王寺は四箇院 (敬田・悲田・
		施薬・療病) を構え、広く一般民衆に手をさしのべ、太子信仰の拠点となると同時に、庶民救済の中心地となった。」とある。
		「四天王」とは「持国天」「増長天」「広目天」「多聞天」という、本来は古代インドの神である。これが仏教と結びつき、それぞれ、
		「東」「南」「西」「北」の四方を守る守り神となったと言う。 

 

 







 

 

 



 

 

 




		縁起にあるように四天王寺は「敬田院(きょうでんいん)」、「悲田院(ひでんいん)」、「施薬院(せやくいん)」、「療病院(り
		ょうびょういん)」という四つの院を持っていた。それぞれ、孤児や高齢者など身寄りのない人を救済したり(悲田院),病いを持つ
		人に医療を施したり(施薬院,療病院)、学問や精神的な救済を目的としたり(敬田院)、人々の日々の生活に密着した救済・文化セ
		ンターのような所でもあったのだ。現在、既にそれらは無くなってしまっているが、四天王寺が今でも大阪の民衆の心に深く根付いて
		いるのは、おそらくその記憶が深く残っているからではないかとも思える。
		他の多くの寺院と同様、四天王寺も幾度にわたる災害をうけているが、西門石造鳥居は、永仁(えいにん)2年(1294)建立の、寺内
		最古のもので、ほかに本坊方丈・六時堂など元和(げんな)9年(1623)の建立のものが戦災から免れて現存している。











 

 



 


		四天王寺の正門は本来「南大門」であるが、現在では多くの人は天王寺駅から歩いてくると「西門」の大鳥居へぶち当たるので、ここ
		を寺の表門だと思っているようだ。参詣客の大部分はこの西門を通って境内に入る。寺なのにどうして鳥居があるのだという事にも留
		意していないようだ。この鳥居は神仏混淆の名残である。通常、寺には南門があり南門が正式な門であるが、四天王寺に西門があるの
		は、平安時代末期から鎌倉時代にかけての「西方浄土」思想と関係がある。 かって上町台地の西側は海であった。今の日本橋,、波あ
		りは海岸だったのだ。「西門」からは海に沈む夕日が美しく、この西門を出るとすぐ西方浄土に連なっていると信じられていたのだ。
		それで、古代人が夕陽を眺めたこのあたりを「夕陽ケ丘」と今でも呼ぶのである。



 




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