大宇陀の町並みをへだてた西方の、西山のふもとに阿紀神社がある。このあたりが万葉集に出てくる阿騎野や菟田の大野だとされている。 日本書紀の壬申(じんしん)の乱の記事で、大海人皇子が吉野を出て菟田の吾城(あき)に来たとき、二十余人の猟師が従ったとあること などから、当時のこの地は狩猟の地であったことがうかがえる。 社伝によると、垂仁天皇の御代皇女倭姫命が天照大神を祀った宇多の阿貴(阿騎)宮が当社の起こりとなっている。 杉小立におおわれた境内には、神明造りの本殿と現在では非常にめずらしい能舞台がある。