Music: 雨降りお月さん



歴史倶楽部 第140回例会

早春の飛鳥を歩く 蘇我氏の野望
2009.3.1 奈良県高市郡明日香村



	名所旧跡の建ち並ぶ京都と違い、飛鳥にあるのはなだらかな丘陵と田んぼの光景である。甘樫丘から大和三山を眺めると、この
	地が古代の都跡だとはとても信じられないくらい、のどかで懐かしい風景に出会う。それは我が故郷の光景のようでもあり、ま
	た、全く見知らぬ土地のようでもある。「古代人のざわめきが聞こえてきそうな」とよく本の解説にあるが、そんなものは全然
	聞こえてこない。飛鳥を歩くときのイメージは、単なる郷愁とも違う一種不思議な感覚である。歩いて行く足の下に、全てのも
	のが埋まっていると思った時、古代人は我が脳内に脈々と蘇る。




橿原神宮前駅に集合。出発前の記念写真。

	第140回例会 飛鳥の100年
	飛鳥に都があった100年間を偲んで歩く。−蘇我氏の野望−
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	飛鳥も、歩くにはあまりに広いので、今回は橿原神宮前駅から蘇我氏の本貫「石川の地」と推古天皇即位の豊浦宮を皮切りに、
	甘樫ノ岡、水落遺跡、石神遺跡、酒船石、飛鳥浄御原宮(飛鳥板蓋宮)、河原寺、亀石、欽明天皇陵とめぐって、飛鳥駅まで約
	6kmを歩きたいと思います。

	日時 : 3月1日(日)
	集合 : AM9:30 近鉄線「橿原神宮前駅」東口集合
	装備 : 弁当、水筒、防寒具、雨具、そのた
	散策路: 散策路については、当日「飛鳥パスポート」(100円)と地図をお渡しします。
		 従って、資料の数の準備がありますので、必ず出欠をしらせてください。


	飛鳥時代という時代分けは、1900年前後に建築史・美術史で初めて用いられたもので、その提唱者は関野貞と岡倉天心であった。
	関野は、飛鳥時代を朝鮮の芸術が影響を与えた時代と規定し、推古朝から大化改新ごろまでとした。岡倉は、仏教伝来(552
	年説)から平城遷都(710年)まで、主として飛鳥地方に都があった時代を飛鳥時代としたが、「正確なる時代区分」として
	は、仏教伝来から天智天皇即位(667年)までに限定した。
	関野は唐の影響を受けた「寧楽時代」(白鳳・天平時代)に対して、また岡倉は「天平時代」に対して、それぞれ先行する時代
	を飛鳥時代と考えたのである。現在、日本史では、岡倉が広く用いたような意味で、推古朝ごろから平城遷都までをこの名で呼
	ぶことがある。しかし意味が確定しないこともあって、むしろ7世紀前半とか、天武朝とか、世紀や天皇の名前を使うことが多
	い。美術・建築・考古の分野では、現在においても、関野説のような意味でこの分け方を使っていることが多い。 

	飛鳥に住んでいた渡来人「東漢氏」(あずまのあやし)を掌握していた豪族蘇我氏が有力になると、飛鳥はにわかに政治・経済
	の中心地となっていった。新しく受け入れられた仏教文化は、この地にはじめて開花した。天皇の宮、豪族の館・邸宅、大寺院
	などが建ち並び、日本の古代国家は、飛鳥を中心に形作られて行く。

	飛鳥地方には、古く4,5世紀に応神(おうじん)天皇や允恭(いんぎょう)天皇の宮があったと伝えられる。6世紀前半には
	顕宗・宣化天皇の宮がつくられたようだ。しかし飛鳥に次々と宮が作られるようになったのは、推古天皇の豊浦ノ宮(とゆらの
	みや/とようらのみや)からである。

	宮は、初め天皇の住まいが主で、同時に政治の場を兼ねていた。天皇の代が代わるごとに移され、一代の間に2,3回移ること
	もあった。国家体制が整備されるに従って、中国の制度に習い天皇の住まいの他に多くの役所が宮の中に建てられるようになり、
	やがて宮の周囲を市街が取り囲み「京」と呼ばれるようになる。

	593年、推古天皇が飛鳥豊浦ノ宮にて即位し、以来約100年間、歴代の天皇は宮を飛鳥の地に集中的に営み、飛鳥は政治の
	中心地となり、大陸の先進文化を摂取し斬新・華麗な飛鳥文化が花開いた。この宮の時代に飛鳥寺が完成する。仏教が盛んにな
	り、各豪族が競って寺院を建立する。
	つまり飛鳥時代とは、先立つ古墳時代の後を受けて、これらの「寺院」と「宮都」が形成されるようになった時代と言える。
	そしてそれは、「寧所にいとまあらず」という戦乱と混乱の古墳時代に終わりを告げて、中央集権を基盤とした「大和朝廷」が
	その権力構造を盤石のものとしてゆく時代であるとも言えよう。
	
いわゆる飛鳥時代の宮

NO
宮の名前
移った年
住んだ天皇
宮の場所
豊浦(とゆら)宮 592 推古 飛鳥
小墾田(おはりだ)宮 603 推古 飛鳥
飛鳥岡本宮 630 欽明 飛鳥
田中宮 636 欽明 飛鳥
厩坂(うまやさか)宮 640 欽明 飛鳥
百済(くだら)宮 640 欽明 飛鳥
飛鳥板蓋(いたぶき)宮 643 皇極 飛鳥
難波長柄豊崎(ながらとよさき)宮 645 孝徳 難波
飛鳥板蓋宮 655 斉明 飛鳥
10 飛鳥川原宮 655 斉明 飛鳥
11 後(のちの)飛鳥岡本宮 656 斉明 飛鳥
12 朝倉橘広庭宮 661 斉明 福岡県朝倉市(私の故郷)
13 近江大津宮 667 天智 近江
14 嶋宮 672 天武 飛鳥
15 飛鳥岡本宮 672 天武 飛鳥
16 飛鳥浄御原(きよみがはら)宮 672 天武 飛鳥
17 藤原宮 694 持統
文武
元明
飛鳥
18 平城宮 710 元明 奈良


ここでの解説の多くは、ネット内のフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』と、私がこれまでに行った「飛鳥散策」 のHPから転載しています。従って今までにお読みになった文章と多くが重複していますが、ご了承ください。また、西本さ ん、郭公さん撮影の写真も掲載してあります。特に区分はしていませんが、写りのいい写真がお二人の写真とお考えください。


上記青い線が本日のコース。今回は明日香村観光協会発行の「飛鳥パスポート」を活用した。100円でなかなかの優れもの。











    




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