Music: Yellow Submarine
第3日目 バラス島・珊瑚礁でダイビングを楽しむ

  





          




			17日朝8時50分、昨日と同じように、ダイビングショップのインストラクターのお姉さんが、
			ホテルまでワゴンで迎えに来た。今日は一人だった。昨日もそうだったが、真っ黒に日焼けして
			いる。お世話になった「Blue Point」(〒907-1541 沖縄県八重山郡竹富町字上原548TEL. FAX 
			09808(5)6577)というダイビングショップは上原港にある。
			我々のホテルは大原港に近く、ちょうど真北から真南まで迎えに来た事になる。約40分かけて
			我々も上原港へ行く。ショップで簡単な講習を受け、保険の用紙に記入してウェットスーツを合
			わせる。ピタリと体にくっつくので、なかなか着るのが難しい。上原港から船長の広松さんと、
			インストラクターのお姉さん二人、それに我々家族の7人で30人乗りの船に乗り、バラス島を
			目指す。

  


			バラス島は、西表島と鳩間島の間のサンゴのかけらでできた島で、サンゴ以外には土も砂も、勿
			論植物もなにもない無人島である。遠浅で入門編の講習には最適の場所のようで、シュノーケリ
			ングとスキューバダイビングのスクールがいくつも開かれている。船で渡してもらわなければ行
			けない島で、みんながあちこちで潜っているので、船を近づけるのもなかなか難しそうである。






          







			島に着き、水中めがねを拭いて、しばらくシュノーケルで泳いだ後、タンクを包んだジャケット
			を背負わされる。7kgの重りも付けられて体全体がズシリと重い。浜辺に座り込んで付けても
			らうのだが、足からじわじわと水中に入っていく。呼吸の仕方と息抜きの仕方を再度確認させら
			れて、全身水に浸かる。スゥー、ハァーと息を吸い出すとゴボッ、ゴボッと泡が立って海面へあ
			がっていく。TVや映画を見ているような光景で感激してしまう。インストのお姉ちゃんが海底
			を這うようにして泳げと手招きで指示する。手書きのボードを持っていて、あれこれ指示してく
			れる。ゴボッ、ゴボッと息を吐きながら泳ぎ歩きをする。1m、2mとだんだん深みへ入ってい
			き、3,4mの所で珊瑚礁とそこに集まった魚たちを観察する。TVで見る赤や青、黄の魚たち
			で一杯だ。これはカサゴ、これはクマノミとかお姉ちゃんが教えてくれる。何と面白い世界だろ
			う。

 

 





 


			お姉さんが、持ってきたソーセージの切れ端を渡してくれる。千切って魚にやれと言うことだ。
			手で細かくしているときから、目敏く見つけた魚たちの群れに囲まれる。「気をつけないと手を
			咬まれますよ。」と事前に聞いていたが、ほんとにすごい勢いで餌に向かってくる。たちまち魚
			に囲まれてつい捕まえてみたくなるが、勿論そんな間抜けな魚はいない。餌をやり終わってふと
			海面を見ると小さい小魚の群が海面近くを泳いでいる。
			「あれはイワシ」。かと思うと長いウナギのような魚も海面を泳いでいて、「あれはサヨリ」。
			自分の頭の上をさよりが泳いでいる。大阪梅田の「亀寿司」や「縄寿司」を思い出してしまった。

   



 

 

 我々の乗った船。


			昼食は船で食べるのかと思ったら、バラス島の北東にある鳩間(はとま)島という所へ運んでく
			れて、そこに上陸した。静かな島で、殆ど人がいない。護岸工事のような事をしていたが昼休み
			なのだろう誰もいなかった。ここには定期船はないそうで、船がなければどこにもいけない。
 

 



鳩間島遠景と島内の風景。

 


			午後からは沖合へ出て、珊瑚礁の上に錨を降ろして船から海中へ。すごい広さの珊瑚礁で、竜宮
			城はかくやと思うほどの素晴らしい光景だった。スキューバはいつまでも海中に居れるのがいい。
			こんな光景はいつまで経っても見飽きるという事がない。南海のパラダイスとは全くよく言った
			もんだ。


 

ウミヘビ(上右)は縞模様で、ほんとに蛇のようだ。毒があるから触ってはいけない。

 

 
			ナマコを抱える哲平。これは食べられないナマコ。


			ちょっと深そうな所に、緑の大きな岩礁があってサンゴが一杯付いているので、そっちへ行きか
			けたらお姉さんに制止されてしまった。初心者は禁止のゾーンのようだ。息をするのは思ったよ
			り簡単だ。規則正しくスゥー、ハァーとやってれば全然どうという事はない。ぐるぐる回転して
			も、立ち泳ぎしても苦しくない。快適快適。







 





   

 



			ダイビングが終わって3時頃に上原港へ戻る。ショップへ戻り、シャワーを浴びて着替え、支払
			いを済ませると、広松さんがオリックスレンタカーの事務所まで送ってくれた。ここで車を24
			時間借りて、島巡りにでかけた。上原の集落を抜けてさらに北へ向かう。島の主要道路は県道2
			15号線のみで東部の南風見から、西部の白浜までの51.2Kmが「北岸道路」として整備さ
			れている。全線2車線の舗装道路で、時々海岸を眺めながら快適なドライブが楽しめる。という
			か、島の内陸部は原生林が深く、道路は海岸線に沿って作るしかないのである。西表島は標高4
			70mの古見岳(こみだけ)を最高に、テドウ420m、ゴザ岳421mと比較的ゆるやかだが、
			地形や環境が複雑で、ジャングルの中の山道は見通しも悪く、素人が足を踏み入れるには非常に
			危険である。我々が島へ来る2週間前くらいにも、琉球大学の学生が行方不明になっていて、島
			内至る所に「探しています!」の張り紙があった。定期バスは大原から白浜間を1日3往復運行
			している。






  
      
☆ 星の砂海岸 ☆ ☆


      
  




			星砂の浜。浜のほとんどが星形の砂でできている。砂と言っても実は鉱物の砂ではなく、星砂
			は、原生動物に属する”バキュロジプシナ”という有孔虫の遺骸で、殻は石灰質からできてい
			る。有孔虫は、いまから約8億年前の先カンブリア紀に誕生し、現在まで生き延びているアメ
			ーバの仲間で、石灰岩を作る生物として知られている。有孔虫の仲間には色々な種類があるが、
			特に突起のできた種類は”星の砂”と呼ばれている。中野集落と住吉集落の丁度中間地点に多
			く見られ、この一帯を「星の砂海岸」と呼び島でも指折りの観光名所である。海水浴場は大き
			な岩礁に囲まれたプールになっているので、子供でも安心して泳げ、シュノーケリングに興ず
			る人もたくさんいた。西表島では一年中泳げる。島の12月の平均気温は20.6度、1月は
			17.6度、2月は17.9度、3月は20.6度と本土に比べるとすこぶる温かい。1月に
			車のクーラを入れて走行する日もあるという。 
  


 

 

 






			南風見田(はいみだ)の浜。西表島の南にある長く美しい砂浜。遠く波照間島や仲の神島を望
			むことができる。春から初夏にかけて南十字星が見られる。キャンパーが多く、松林の中にい
			くつかテントが張ってあるが、側には「キャンプ禁止区域」の看板が立っている。














			道路の至る所に「イリオモテヤマネコに注意!」の看板が立っている。イリオモテヤマネコは、
			西表島の中でも比較的標高の低い地域に生息しており、現在、西表島に約100頭生息してい
			ると推定されている。絶滅が心配されていることから、「国内希少野生動植物種」に指定され、
			その保護が図られている。西表野生生物保護センターは、イリオモテヤマネコをはじめとす
			希少野生生物や西表島の自然についての普及啓発活動や、絶滅の恐れのある野生動物の保護繁
			殖事業や調査研究を総合的に行うための機関であるが、展示は午後4時までで、我々が行った
			時にはとっくに閉まっていた。セガレも私も剥製が置いてあるというので期待していたのだが、
			4時で閉まっていたのは残念だった。



 





これはイリオモテヤマネコの子供である。子供はあまり人を恐れず、カメラを向けても逃げない(そうだ)。




			西表島は数百万年前は中国などの大陸と陸続きだった。その頃は大陸と同じヤマネコだったと
			思われるが、西表島が島になった時に、一部のヤマネコが島に取り残され、住環境の異なるイ
			リオモテで長く生きたため独自の進化を歩み、イリオモテヤマネコという特殊な種になったと
			考えられる。大陸のヤマネコはベンガルヤマネコといい、台湾や東南アジアなどに広く分布し、
			日本では長崎県の対馬にいるヤマネコがベンガルヤマネコの仲間である。当時誰も信じてくれ
			なかったが、私は高校生の頃生物部の採集旅行で対馬に滞在した時ツシマヤマネコを見たので、
			今回イリオモテヤマネコも見たかったのだが、そこまでの願いはかなわなかった。






			イリオモテヤマネコは夜行性で、泊まったホテルに「ナイトツアー」というのがあり、夜の西
			表島を散策するツアーがあったが、3時間 5,000円は高かったし、カヌーとダイビングで疲れ
			ていて、とてもそれに参加する元気はなかった。しかし今年6回開催して、その内3回はイリ
			オモテヤマネコに遭遇したという。
  


下は、初めてイリオモテヤマネコの狩りの姿が収まった貴重な写真




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