SOUND:雨降りお月さん




邪馬台国大研究








	現在(平成9年)、歴史学者の多くは研究対象として邪馬台国を選んではいない。
	それは,殆どの議論が出尽くした観があるのも事実だが,研究の対象としてはあまりにも大衆化しすぎている事にもよる。盲目の
	在野の研究者・宮崎康平が「まぼろしの邪馬台国」を著してからというもの,にわかに邪馬台国研究者が世に出現した。古代史愛
	好家の誰もが「邪馬台国はここだ!」「あそこだ!」「こっちだ!」とやりだしたのである。
	その結果はアカデミズムを遠く離れ,さながら「邪馬台国」や「卑弥呼」というスターについて言及するファンの集いのような様
	相を呈してきた。スターへの憧れで意見を言うのだから理論などどうでもよい。「あなたが好きよ。今度この服を着て!」「あん
	なTVにでてはダメ!」「私だけの卑弥呼さま。」等々。一大「邪馬台国」ブームの渦中は,殆どが客観性を欠いた,己の信じる
	ままの意見を述べるだけの「邪馬台国」論が横行した。殆ど宗教に近い。これでは,まともな学者は沈黙してしまう。
	結果,在野の自称古代史家達が続々と自分の「邪馬台国論」を発表し続けて現在に至っている。現在では,一時期ほどの狂乱ブー
	ムのような事はないが,それでもグラフ誌や歴史雑誌の「邪馬台国」特集号は売り上げが増えるそうであるし,全国どこかの出版
	社から年数冊は「邪馬台国」や「卑弥呼」といった題名の本が出ているという。
	これらの在野の研究者が唱えているものも入れると,「邪馬台国」がここにあったという比定地は現在100ケ所を越えている。
	その多くは,奈良盆地を中心にした「近畿説」と北九州を中心にした「九州説」に大別されるが,中にはフィリピンや,あろう事
	かエジプトという説を唱えた者もいる。



	学問としての混乱は,沈黙した歴史学者達に責任があるわけではない。
	狂乱ブームの中でもコツコツと研究を続けてきた学者達も当然居たわけだし,現在でも真面目に古代中国の里数を解明しようと努
	力し続けている人達がいるはずである。
	しかしながら,これらの諸説に対してアカデミズムが全く無力だったように見えるのは何故だろう。エジプトやアラスカ,果ては
	海に沈んでしまった,と言うような説に対して明確に「とんでもない!」と言えないのは何故か。それは,「歴史学」という学問
	の持つ特殊性による。
	周知のごとく歴史学は自然科学の分野には含まれていない。いわゆる理科系の学問ではない。大学や研究機関でも人文科学の分野
	に含まれ,多くは文学部に属している。現在の日本のアカデミズムの中に在っては「歴史」は「文学」なのである。つまりは,
	「解釈」であり「想像」であり「創作」なのだ。
	考古学や,民族学やその他の学問の成果をふまえて,解釈し,想像し,創作するのである。だとすれば,歴史学者達が百花繚乱の
	諸説に対して断を下せないのも理解できるではないか。自分たちにも確かな所は分からないのだから,一人一人の解釈の数だけ
	「邪馬台国論」がある事になる。学問の大衆化という点から見れば,むしろ,これでいいのであろう。
	最近はアマチュアの研究内容も、だんだん一笑に付すような程度の低いものでは無くなってきている。大衆化する事により、相対
	的に研究のレベルが向上する。アマチュアとプロのレベルが等しくなれば、プロはより高みを目指さなければならない。アマチュ
	アがまた知識を広げる。その繰り返し。やがて、誰もが大学の資料を閲覧でき,博物館で考古の遺物を実見でき,気軽に大学教授
	の研究室を訪ねて歓談する。「邪馬台国」という共通の研究対象の為に。そんな世の中に早くなって欲しいと願う。

	現在では,歴史学の分野に自然科学の手法を取り入れていこうとする試みも見られるようになった。コンピュータを使った統計学
	や、分類学などがそうであるし、DNAの分析などは考古学者がどう逆立ちをしても解明できるはずもない。
	また「トイレの考古学」の分野に踏み込むと、細菌学者か昆虫学者か分からないような学問にも首を突っ込まなければならなくな
	る。自然科学との連携、これはこれで歴史学における一解釈である。しかし、コンピュータを使ったから正しいとは誰にも言えな
	い。ただ、自然科学の力を借りれば客観性が増す、という点は否定できない。統計値には学者個人の嗜好は反映されないし、古代
	においてもゴキブリはゴキブリである。客観性の世界では、唯物史観や皇国史観に基づいた論法は通用しなくなる。「客観性」,
	これは学問においては命である。これをより高める事こそ学問の目的であり学究の徒の努めであるはずだ。その点から見ても、歴
	史学と、自然科学やその他の学問分野との連携・協調はおおいに歓迎すべきであろう。




	このホームページは,今までの我が国内外の「邪馬台国」研究の概要を紹介し,PCやインターネットに親しんでいる
	若い世代に,我が國の古代について興味を持ってほしい,できれば,それらの新しい手段を歴史学の発展に生かせない
	か考えてほしい,そしていつの日か,卑弥呼の眠る大いなる塚を発見してくれたら,という目的で製作した。製作者個
	人は単なるサラリーマンで,一古代史ファンにすぎない。作者個人の紹介は別にホームページがあるので興味がある人
	は覗いていただきたい。
	製作にあたっては、カットやアニメや遺物の Photoは、基本的に私がデジカメで撮影し編集したものと、購入した市販
	の素材集から及びインターネット内のFREEのページから拝借したものを使用している。印刷物からのもので著作権に抵
	触しそうなものは、個人&学術使用ということで許可を得ている。
	Beatles のMIDIファイルは、アメリカのMIDIマニア達のFREEページから頂いてきた。映画音楽、JAZZ、クラシック、
	日本の雅楽までありとあらゆる種類のMIDIファイルがFREEで提供されている。



	【平成11年7月7日追記】
	最近いただいたMAILの中に、「遅い。Javaなどの効果を多用しすぎる。」というご指摘があったので、一言弁明しておきたいと
	思う。基本的にこのホームページは、「大研究」と銘打ってはいるものの研究用のホームページではない。本格的に古代史を勉
	強しようという向きにはまだまだ読書が一番なのであって、読書に勝る勉強手段はない、というのが私の持論である。ホームペ
	ージの持つ効果は書物とは別の次元にある。画像であり、音声であり、動画であり、そして文章である。まさしく Multiなメデ
	ィアとしての特徴こそが、ホームページの持つ偉大な効果なのだ。こういう視点に立って私はこのホームページを作成している。
	前項で記したように、私のこのホームページ作成の目的は「紹介・案内」であり「啓発・啓蒙」なのである。従って、読者(視
	聴者)の注意を喚起する多くの手段を今後も使用するつもりでいる。又、「百聞は一見に如かず」のことわざ通り、見て貰うの
	が一番てっとり早いという考えに基づき、今後も画像中心の路線を貫きたい。

	そうは言っても現段階では、画像の多さから接続に時間がかかる事も又事実である。このお叱りも時々頂戴するが、今の時点で
	は「耐えて下さい」とお願いするしかない。日本の通信料金は高すぎる。NTTが世界最大の通信会社だというのは、売り上
	げ規模からそういわれているのであって、通信料金が欧米並になればたちまち3位4位となるのである。
	つまり日本人は欧米人に比較して、高い電話代を負担させられているのだ。この料金を払えば例えばアメリカではもっと早いス
	ピードでInternetにアクセスできる。我々が文句を言うべき相手は、ホームページの作者にではなく、郵政省でありNTTであ
	るべきなのだ。日本テレコム、第二電電等のキャリアもあるのだから自由に競争しているではないか、という声も出そうだが、
	まだまだ日本は少なくとも通信分野に置いては自由競争の域に達していない。100年以上かかって税金で作り上げてきたネット
	ワークは、税金のおかげで今や日本の隅々にまで達している。
	これとたかだか10年ほどの歴史しかもたないNCC(日本テレコム等のキャリア:通信事業者)は戦っているのである。純粋な
	民間事業者である彼らNCCが、人口20人ほどの山中や離島に電信柱を敷設できるはずがない。これが果たして自由競争と呼
	べるだろうか?

	今度のNTT分割で、素人目にはNTTの勢力が小さくなると思われがちだがそうではない。この分割でNTTはますます強大
	になるのである。持株会社を頂点に、一大NTTコングロマリッドが出現する。それが悪いかという声もある。確かに世界の通
	信業者と戦うにはもっともっと強大になった方がよいという意見もある。
	しかし長い目でみれば、独占形態で提供される商品・サービスのしわ寄せは利用者に跳ね返る。結局、最終的な付けは国民が支
	払う事になる。進歩と発展は、平等で自由な競争から発生する。そうなってはじめてコストも下がるのである。
	【2000年直前の七夕の夜に】



	【平成16年9月9日追記】
	以下の記事に見られるように、5年かかって日本はやっと私の望んだ環境になった。5年前、「写真が多すぎる。」「遅いのは
	何とかならんか!」「写真を減らせ」というようなお叱りに、「私のHPがビュンビュン繋がるようになって、はじめて日本も
	IT立国と呼べるのです。もうしばらくのご辛抱を。」と返答し続けてきた努力が実ったことになる。やれやれという気もする
	が、通信屋としてはまだまだこれからである。日本のブロードバンド使用者はまだ11.7%だ。高速のネット利用を、もっと
	多くの人に享受してほしい。もっともっと快適な環境を楽しんで欲しいと願う。通信屋としては、もっと安価にもっと高速に、
	絶えずよりよい環境の通信を今後とも提供できるように心がけたい。
	【2004年。やたらと台風の多かった年の、秋初旬の夜に。】





	【平成19年2月1日追記】 
	平成11年7月7日に追記した記事について、その後の通信業界の事情はだいぶ変化したと思われるので、ここで訂正しておき
	たい。あの記事を書いてから8年後の今、NTTコングロマリットは結局実現しなかった。各NTT子会社は、もちろんNTT
	という大きな企業グル−プの中にあるのだけれども、その力が集結して何らかの企業活動を起こすという事にはならなかった。
	それどころか、携帯電話の急速な伸びに伴って、従来型の家庭内や企業に引いてある電話、いわゆる固定電話サービスの売り上
	げは低迷し、NTTグループの中でいわばつぶし合いをやっているような状況になった。そしてこの状態は、他の二大通信キャ
	リア(KDDI、ソフトバンクテレコム(旧日本テレコム))においても同じ状態になっている。
	そして、郵政省から総務省と名前を変えた通信行政監督省庁の勧告もあって、NTTネットワークは音声・データ通信を含めて、
	相互接続という形で前記二大キャリアに(勿論他の通信キャリアにも)そのネットワークを提供せざるを得なくなった。つまり、
	前の記事で書いた「NTT独占」という形態は、今のところ実現していないのである。また通信料金についても、競争と技術発
	展の結果、世界の通信料金と横並びになったと言ってよい。利用者にとっては喜ぶべき事に、今からの通信料金は値下げはあっ
	ても決して高くなる事はないだろう。通信業界に身を置いていた私としては何とも複雑な心境ではあるが、前述したように、最
	終的には利用者の利益になるのでこれで良かったのだろうと思う。
	しかし業者としては手放しでは喜べない。減り続ける売り上げの中でどうやって利益を出すのかという命題を、利用者にとって
	の利益とを考え、今後いかにして実現していくかという岐路にさしかかっているからである。これはNTTも含めて、通信キャ
	リア各社がかかえている問題であるが、そういう意味においては、通信業界はいまこそ競争のまっただ中にいるのだとも言える。




	我々団塊の世代にとってビートルズは、ヒーローであり、救世主であり、神ですらあった。アメリカ文化を撒き散らしていたロ
	カビリーと、センチメンタルな歌詞にあふれた演歌洪水に溺れていた我々を、その美的な詩とともに崇高な(と当時は思えた)
	メロディーで全く異なる世界へ導いてくれたのがビートルズだった。若い我々は、こぞってビートルズを聞き、歌い、演奏した。
	我々はまさしくビートルズと共に生きビートルズとともに育ったのであった。
	あの時代からもう30年が過ぎた。このホームページを開くにあたってBGMにビートルズを選んだのは、まさに作者のノスタ
	ルジー以外の何物でもない。ビートルズの嫌いな人はスピーカーのスイッチをオフッて、PCサウンド以外のツールで好きな曲
	を聞きながら見ていただきたい。尚このホームページでは、受信側が音源ボードを備えているかどうかについては CHECKしてい
	ない。従って、受信時にエラーとなったり、ウィルスが含まれている可能性がありますと言ったMessageが表示される事がある。
	いずれ対処したいと考えているが、それまではガマンしてこれらのMessageは無視していただきたい。

	                                      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・平成9年盛夏。


	ということでしたが、HP開設10年を期に音楽を入れ替えることにしました。ビートルズは皆様からも好評で捨てがたいので
	すが、FREEのMIDIであっても著作権が英国に存在しているので、この際著作権の切れた日本の楽曲でまとめていきたいと思って
	います。ビートルズや洋楽の鳴っているページは今音楽を止めていますが、徐々に切り替えていく予定です。ご了承ください。

					   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・平成19年初夏。


	前のコメントを書いてからもう5年が過ぎた。ということはこのHPを開設して15年が過ぎたことになる。どっかに書いたが、
	5,6年前ある大学生からmailを貰った事がある。「小学生の頃見たこのHPが、大学に合格して天皇家を調べているとまだあ
	ったのでびっくりしました。私が初めて Beatlesを知って、その時のサウンドが聞こえてきてメチャ懐かしかったです。」とい
	う内容だった。小学生が大学生にと、そんな年数が経過したのかと驚きだったが、私のHPで Beatlesを初めて知ったというの
	も驚きだった。
	しかし今年の春、我が歴史倶楽部の橋本さんから「井上さん、HPの音楽、鳴らんようにでけんの?」と言われてこれまた驚い
	た。「音楽が鳴っていると、じっくり読めない」と言う。それはそうかもしれない。当初は簡単な内容のHPだったので、音楽
	を聴きながらでも楽しく読んで貰うつもりだったが、長文の解説を読んでいると音楽は確かに邪魔かもしれない。橋本さんには
	「スピーカーをOFFにして読んで下さいよ」と言ったのだが、橋本さんのPCはスピーカー内蔵型で外部にスイッチは無く、また
	橋本さんはOSの「音量調節」を手際よく出来るほどのPCシンパでもないのでハタと考えた。「会社で見たら大きな音がして
	ヤバかった」という声も聞いたし、時々「音がうるさい」というmailもいただく。反対に「BEATLESいいですねぇ」とか、「もっ
	とJAZZとかも流して下さい」とか言うようなmailもいただいて、現在「音」をどうするか迷っている。

					   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・平成24年梅雨。






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