五條市にも古墳時代はある。近畿地方では、概して古墳は縄文・弥生と遺跡がある所の近くには必ずあるようだ。言い換え れば、古墳のあるところその前時代にも人々はそこにいたと言うことである。或いは、稲作の行われていた所へ、古墳時代 人たちは攻め込んだのかも知れない。
豪古鉢形眉庇付冑 この冑は、黒漆塗りの鉄小札と、鍍金した薄い銅板を重ねた鉄小札とを組み含わせて鋲留している。庇は金銅製で、タガネ で波状文と列点文を蹴彫し、三角形を透彫している。さらに鉢の下に鉄製しころが付いていた。大小2種の鋲も金銅製であ り、鉄板の成形・整形、金銅製、タガネ彫、鋲留など当時の金属技術の粋を集めた製品である。西洋ナシのような形をした 鉢が特徴的で、日本では和歌山県椒浜古墳に唯一類例がある。形態的に中国東北部・朝鮮半島にその祖形を求められる。
南阿田大塚古墳 県史跡史蹟 大淀町の中心部から吉野川南側の県道を西に行くと南阿田町集落東側の丘陵上にあり,県道脇に案内板あり。全長 30mの前 方後円墳で崖際ぎりぎりの所に立地している。後円部南側(山側)に両袖式横穴石室が開口している。全長 9m 緑泥片岩、 石墨片岩を小口積みにし、石室自体は天井が落ち込んでいたのを復元している。
こうもり塚古墳 大塚古墳から1km程南下した所の、寺背後の斜面墳丘にある径 10m の円墳。南側に石室が開口し羨道は殆ど無くなってい るが玄室は完存している。 黒駒古墳 1998年の台風9号(室生寺五重塔が壊れた台風)で石室が崩壊寸前となった黒駒古墳の保存整備が終了し、公開された。 横穴式石室は地元の結晶片岩を積み上げた大和と岩橋型の折衷様式で全長6.4m、玄室長3.0m幅1.7m高さ2.0mで持ち送りが見 られる。両袖部は高さ1mほどの柱石を突出させて、前道状になっている。発掘調査で馬鞍の線刻画のある陶棺(五条文化博 物館に展示)が出土した。