JR松山駅から南へTAXIで5,6分の所にこの博物館は建っている。すこし小高い丘の上に現代的なデザインが人目を引く。 建ってからもう10年ほどになるようだがきれいな博物館である。以前「愛媛県立博物館」を訪ねた時、松山にはちゃんと した博物館は無いのかと嘆いたが、ちゃんとあった。松山周辺で発掘された遺跡からの遺物を、整理して展示してある。
小照遺跡は、昭和47年の松山市内の下水道処理場の建設中に発見された。その後の調査の結果、古墳時代前期の灌漑用の堰 (せき)であることが明らかになった。この遺跡は、2本の川が合流する地点に三つの堰が構築され、水田に水を引く為の 農業用の灌漑施設であろうと考えられる。堰の構造は、縦・横・斜めに複雑に木材を組み合わせた合掌堰と呼ばれるもので、 当時の土木技術の高いレベルを窺わせる。堰の上流側には水が流れないように、オギを敷いたり粘土を詰めたりした跡も見 られる。 この遺跡の保存には、出土した木材にPEG(ポリエチレングリコール)液保存処理法を施すことによって、木製品の半永 久的な保存が可能になり、この考古館に常設展示されている。 この方法は現在木材の保存には最適とされており、多くの遺跡からの出土木材がこの処理を行われて保管されている。又、 PEG水溶液に浸して保存されている場合もある。