エントランスを入るとすぐさまサヌカイトの原石に出会う。打力で剥離し易く用いて硬いこの石は、当時の石器使用人達が争って もとめたに違いない。
全国各地の石器を、その出土区域で分類して展示してあるが、その画一性に驚く。人間というのは一様に発展・進化していくものだ。 どこかの地域だけが突然に違う文化や生活様式を持つのは、それらがどこか外部からもたらされた時だけで、外圧がなければ、どの 地方でも同じような発展経過をたどるのだという事がよくわかる。
とにかくこの博物館は石だらけだ。石器を研究している人にとっては大変おもしろい博物館だろう。しかしそうでない人にとっては 少々飽きてくる。もっと香芝市の弥生時代や律令時代の事も展示して欲しい気がする。そこへ行けばその町がどんな歴史を持ってい るのか、一目でわかるような内容にして欲しい。遺跡がなければジオラマや複製でいいのだ。考えられるあらゆる可能性から、その 町の歴史を想像し創造するのである。そして住民がもっと自分の町に関心を持ち文化財を大切にし、自分の町に誇りを持てるように する。 行政のどんな機関よりも、博物館にはそれが出来る可能性があると私は考える。