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富山・桜町遺跡(縄文時代) 1998.11.22(日)

 
	
	今回は黒部にある「たなかや」という旅館に宿泊した。戦国武将上杉謙信が発見したといういわれのある生地温泉にある。
	大きな旅館ですごい広さの庭があった。下は部屋から見たその庭の光景。窓から見る北アルプスの山並みも素晴らしかった。
	上左は、その山並みに登る朝日。この旅館は知る人ぞ知る、詩人の「田中冬二」の本家にあたるそうだ。
	昔から私の好きな詩人は、「萩原朔太郎」「村野四郎」そして「田中冬二」だったので嬉しかった。庭には「冬二」の歌碑
	があり、朝、その碑の前で歴史倶楽部のメンバーで記念撮影をした。(上右)












	
	桜町遺跡は富山県小矢部市の国道8号線沿いの、東へ向かって開く小さな谷の中にある。訪れた日は日曜で、発掘作業は休
	みだったがまるで工事現場のようだった。すぐ脇を国道が走っているのでしっかりした防護壁が必要なのだろう。
	この遺跡は、1986年(昭和61年)に行われた試掘調査によって、今から約12,000年前の縄文時代草創期から約 2,300年前の
	縄文時代晩期まで、ほぼ縄文時代全期を通しての遺跡である事が明らかになった。約10,000年もの間、人々が住んでいたの
	である。
	1988年(63年)の発掘調査では谷の中を流れる小さな川の跡が見つかり、川からは多くの木の道具や動物や植物の遺体が発見
	された。なかでも高床式建物の柱材と考えられる貫穴(ぬきあな)や桟穴(えつりあな)と呼ばれる加工をした木材の発見
	は、それまでこれらの木材加工技術は、米作りの技術とともに弥生時代に日本へ伝えられたと考えられていただけに大きな
	衝撃だった。高床式建物は定説より2,000年も古い縄文時代に、すでに存在していた事が証明されたのである。

 



 


	ぐるりと現場を見て回ったが、説明や案内がなければ発掘現場などというものは、基礎知識を習得していないアマチュアに
	とってはただの穴ぼこである。地層の違いなど見ても、すぐわかるようなものではない。遺物は一部小矢部市の「ふるさと
	歴史館」にあると案内があったのでそちらへ向かう事にした。




【発掘現場と遺物出土状況】このコーナーの文・写真は小矢部市発行の「桜町遺跡」より。

 

 

 

 





 

 






【小矢部市ふるさと歴史館】





 

 

 

 







 








平成10年12月29日(火曜日)毎日新聞朝刊
「掲載記事内容:本文のみ(原文のまま)」



富山県小矢部市の桜町遺跡で見つかった縄文時代中期末(約4000年前)の高度な木組み工法が、中国浙江省の長江沿いにある河姆渡(かぼと)遺跡から出土した約7000年前の建物の建築技法と一致していることが、同市教委の伊藤隆三・文化課長補佐の調査で分かった。日本の建築技術のルーツを探るうえで貴重な手掛かりとなりそうだ。
河姆渡遺跡は、大量の稲もみや炭化米が出土した世界最古級の稲作遺跡として知られ、見つかった高床建物用の木材も中国では最も古い例とされている。
伊藤課長補佐は今年11月、同遺跡の出土品が保存されている浙江省博物館(杭州市)で学術調査。木材同士に凹凸を刻んで組み合わせる「ワタリアゴ」という技法が、現地ではツバメの尾にたとえた「燕尾木隼
【(*)注:この字は1字である。PCのATOK12の辞書機能にはしゅんとして存在するが、html内に持ってくると?となり、うまく取り込めない。】(えんびしゅん)」と呼ばれ、1997年に桜町遺跡から出土した高床建物に使われているのと全く同じ技法と分かった。さらに、壁板のつぎ目を溝状に加工する「桶部倉矧ぎ仕口」や、木材に切り込みを入れて固定させる「欠き込み仕口」の技法も共通していることを確認した。
伊藤課長補佐は「両遺跡に約3000年の年代差があるため直接の関係は論じにくいが、全く同じパターンの工法だった。高温多湿な長江下流域の気候から生まれた高床建物の技術が日本に伝わったとも考えられる。」と話している。
一方これまで日本の稲作は熱帯域から伝わったとするのが有力だったが、河姆渡遺跡での発見は、その説に対抗する「長江ルーツ説」の有力論拠の一つとなっていた。両遺跡の建築技術が一致したことで、稲作ルーツ論争にも影響を与えそうだ。【皆木成美】

さらに日中比較を
宮本長二郎・東京国立文化財研究所国際文化財保存修復協力センター長(建築学)の話。
縄文の高床建物のルーツは長江流域と考えるのが自然だろう。ただし、日本の高床建物は祭祀(さいし)目的とみられ、住居など実用目的だった中国とは異なる。日中の比較研究をさらに進める必要がある。







邪馬台国大研究・ホームページ/ INOUES.NET/ 桜町遺跡