Music: 北国の二人(ブルーコメッツ)

Asahi.com 縄文 news 2008年9月7日

			
			女優の竹下景子さんと三村申吾青森県知事が、縄文の魅力や縄文時代が発するメッセー
			ジについて語り合う、世界文化遺産 JOMONフォーラム「ロハスな縄文に想いを馳せて」
			(主催/青森県、青森県教育委員会 共催/朝日新聞社、「青森県の縄文遺跡群」世界
			遺産をめざす会 7月8日 青森グランドホテル)が開催されました。 
			
			
			
			
			竹下
			先程、三内丸山遺跡を訪れてきましたが、以前に比べて、遺跡がかなり整備されていて、
			私たちの祖先が約5千年前にどのように暮らしていたのかを、肌で感じることができま
			した。
			三村
			巨大木柱が発見された当時は、毎日のように新しい発見が続き、故郷にこんなに凄いも
			のがあったのかと感動しました。県民の関心も非常に高く、ボランティアなどで様々な
			ご協力をいただいています。見学者は昨年で500万人を超えました。
			岩田
			三内丸山遺跡は、考古学の常識を塗り替える大発見でした。哲学者の梅原猛さんや作家
			の司馬遼太郎さんも、この地で大きなインスピレーションを得たと言っています。
			竹下
			私も初めて見たとき、教科書で教わったことと随分違うので驚きました。六本柱の巨大
			な建物が復元されていますが、あれだけのものを造るには高度な技術とともに、共同作
			業ができる組織もあったのでしょう。
			三村
			それまで、縄文文化は貧しく原始的といったイメージでした。でも実は、縄文時代は想
			像以上に高度な社会だったことが分かったのです。 
			
			
			
			竹下
			縄文時代は、食生活も豊かで、いろいろおいしいものを食べていたようですね。
			岩田
			四季折々の旬な森の恵みや魚を食べていますし、栗も栽培していました。自然の恵みを
			巧みに利用する知恵や技術も持っていました。現代の青森と比べても、それほど違いが
			ないような気もします。
			三村
			最近、地産地消が叫ばれていますが、縄文時代は理想的な地産地消の社会だと思います。
			現在、青森県は食料自給率118%。しかも米、果樹、野菜、魚、畜産物と、とてもバ
			ランスがいいです。
			岩田
			そういった意味で、食の原点は、縄文時代にあると言ってもいいのかもしれませんね。
			竹下
			土器や土偶を見ると、デザインに力強さを感じます。縄文人はとても感性が豊かですね。
			子どもの墓も印象深いです。大人の墓とは別に、土器に入れ、住まいの近くに葬られて
			います。ずっと子どもと一緒にいたいという親の想いは、今も縄文時代も変わらない、
			と感じました。
			三村
			縄文遺跡からは戦いの痕跡が見つかっていません。命を慈しみ、お互い支え合い、誰に
			対しても優しい社会だったのではないでしょうか。  
			
			
			
			岩田
			環境問題や食料危機を抱える現代社会が、これから目指すべきライフスタイルとして、
			LOHAS(Lifestyles Of Health And Sustainability)といった言葉が提唱されています。
			環境と調和した健康で持続的なライフスタイルのことですが、縄文人の暮らしにはLOHAS
			に通じるものを感じます。
			竹下
			人間も、自然の一部です。自然の大きさ、美しさ、厳しさの中で、本来、五感を働かせ
			て生きてきました。約200年前に産業革命が起きて、エネルギーを使うことばかりに
			走って、自然とのつながりが切れてしまいました。今、そのことに気がついて、新しい
			感性や生活スタイルが望まれているわけですよね。
			三村
			行政の立場からも、縄文を思いながら、行っているものがあります。例えば、水循環シ
			ステムの再生。山、川、海をつなぐ水の流れが、我々の暮らしや農林水産業を守ってい
			ます。これが、持続可能な青森型社会の基本であり、これがなければ、縄文時代から続
			く青森の風土は守れない、と思っています。 
			
			
			竹下
			自然と共生し、家族や共同体との絆を大切に生きていた縄文人から、私たちが学ぶこと
			は多いように思います。
			三村
			縄文人の生活の中心には祈りがあります。祈りとは、未来を信じる力のこと。縄文人は、
			未来を切り拓く強い力を持っていたのではないかと思います。
			岩田
			日本人が明るい未来を築くには、縄文人からパワーをもらう必要がありますね。
			竹下
			現代文明の危機を乗り越えるには、過去の英知に学ぶしかありません。私たちが本当の
			豊かさや幸せとは何なのかを考えるうえで、縄文遺跡に触れ、5千年前の社会に想いを
			馳せることはとても有意義だと思います。
			三村
			私は、縄文時代が現代に発するメッセージを真摯に受け止め、縄文遺跡群を人類共通の
			貴重な遺産として未来へ伝えなければならないと思い、世界文化遺産登録を目指してい
			ます。 
			
			
			現在、特別史跡三内丸山遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群は、世界遺産への登録
			を目指しています。縄文文化は、高度に発達・成熟した、「定住的な採集・狩猟・漁労
			文化」であり、日本の歴史の大半を占め、現代の生活や文化の基礎となった日本の基層
			文化です。私たちの歴史と文化の成り立ちを知るうえで欠かすことができません。本格
			的な農耕を伴わず、長期に継続したこのような文化は世界史上でも稀で、人類史におい
			ても極めて重要です。
			日本全国に約8万カ所ある縄文遺跡のうち、約4分の1が北海道・北東北にあります。
			数が多く、保存状態も良好です。内容を見ても重要で、整備や公開されている遺跡が多
			いのも特徴です。この地域には、集落跡、貝塚、環状列石(ストーンサークル)など各
			時期の多彩な遺跡があり、定住化の過程や集落の様子、縄文文化の変遷がよくわかりま
			す。ヒスイや黒曜石など他地域との交流を示すものや、遮光器土偶のように精神性や芸
			術性の高さを示すものも多く出土しており、日本の縄文文化を代表する地域といえます。
			このような北海道・北東北の縄文遺跡群の価値と魅力を、今後もさまざまな機会を通し
			て広く発信し、世界遺産登録へとつなげていきたいと考えています。 
			
			●特別史跡 三内丸山遺跡/我が国を代表する縄文時代の大規模集落遺跡です。きわめ
			て重要な遺跡であることから、平成9年に国史跡、平成12年には縄文遺跡としては44
			年ぶりに特別史跡に指定されました。出土品の一部は平成15年に重要文化財に指定され
			ました。 
			
			
			
			
			
		 	
			

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